『潔く柔く』感想|大人になっても、何度でも読み返したくなる漫画

※※当ブログのリンクにはプロモーションが含まれています

「面白い漫画」と「好きな漫画」って、少し違う気がします。

面白かった!と満足して読み終わる作品もあれば、読み終わったあとも、登場人物の気持ちを何度も考えてしまう作品もある。

いくえみ綾さんの『潔く柔く』は、私にとって後者です。

ちょっとクセがある。でも、どうしようもなく好き。
初めて読んだ大学生くらいのころから、大人になって読み返した今まで、ずっと気になっている漫画です。

※この記事では、百加とカンナの関係の変化に触れています。未読の方はご注意ください。

Contents

『潔く柔く』は、いろいろな人の想いがつながっていく物語

『潔く柔く』は、いくえみ綾さんによる漫画。マーガレットコミックス版は全13巻で完結しています。

いろいろな人物を中心にしたお話が紡がれる、オムニバス形式の作品です。それぞれの恋や人間関係が描かれ、その人たちの想いが交錯しながら、最後にはひとつにつながっていくような感覚があります。

中心となるのは、過去に大切な人を失ったカンナや禄たち。恋愛だけでなく、簡単には整理できない気持ちを抱えながら、人と関わっていく姿が描かれています。

誰かひとりの気持ちを追って終わり、ではないんですよね。
いろいろな人の想いを知るほど、もう一度読み返したくなる。そうして読むたびに、また考えてしまいます。

きれいなところばかりじゃないから、人間臭い

この漫画の好きなところは、登場人物がすごく人間臭いこと。

きれいなところばかりが見える漫画ではないんです。嫉妬や、相手を好きになれない気持ち、自分でもうまく割り切れない想い。そういうところまで描かれていて、現実的だなあと感じます。

私自身に同じ経験があるわけではありません。

あんな

それでも読んでいると、「わかる」と思うんですよね。

頭ではわかっていても、気持ちがついていかないことってある。人に説明しやすい、きれいな感情だけで生きているわけではないと思うので。

きっと誰もが、何かしら割り切れないものを抱えているんだろうな。
そんなことを考えさせられます。

大学生のころは嫌いだった百加を、大人になって読み返したら

特に印象が変わったのが、カンナの友達になる百加です。

百加は、最初はカンナに嫉妬して、大嫌いだった。
友達との関係にこういう感情が描かれているところが、私には印象的でした。

ただ、初めて読んだ大学生くらいのころは、正直、百加のことが嫌いでした。
性格が悪いなあ、と思っていたんです。

でも、しばらくたってから読み返すと、感じ方が変わっていました。

もちろん、いけないことはいけない。
そこは変わらないけれど、ちゃんと自分の気持ちに折り合いをつけて、カンナと向き合って、最終的には親友になっている。それってすごいことだな、と。

嫉妬していた相手と向き合うのって、簡単ではないと思うんです。
嫌いだと思ったまま離れてしまうこともできるのに、そこから関係を築いていく。

あんな

でも、読み返していて気づきましたが、百加って、カンナのことを最初から結構好きだったんじゃないかな。

嫉妬も入り混じっていたけど、羨望というか、カンナに惹かれる気持ちもあったんだと思います。
ただ嫌いだった、というだけではないんですよね。

大学生のころは、百加の嫌なところばかりが目についていたけど、読み返したら、その中にある「好き」も感じられるようになった。そこも、大人になって感じ方が変わったところでした。

以前は嫌なところばかりが目についていた百加に、「ちゃんと向き合って偉いな」と思うようになりました。

同じ漫画なのに、読む自分が変わっている

印象が変わったのは、百加だけではありません。
ほかの登場人物についても、少しずつ見え方が変わったように思います。

そこで、自分が大人になったんだな、と感じました。

昔の自分が間違っていたということではなく、そのときは気にならなかったところが、今は心に残る。嫌いだと思っていた人物にも、以前とは違う気持ちが湧いてくる。

同じ作品を読んでいるのに、考えることが変わっているんですよね。

『潔く柔く』は、読んですっきり答えが出るというより、何度も読み返して、何度も考えたくなる作品です。
いろいろな人の想いが描かれているから、そのときの自分が受け取るものも変わるのかもしれません。

「面白い」だけでは言い切れない、ずっと好きな作品

わかりやすく共感できる人物や、きれいな恋愛だけを楽しみたいときには、少しクセを感じるかもしれません。

でも、人の割り切れない気持ちや、簡単には整理できない関係について、読んだあとも考えていたくなる方には、ぜひ読んでみてほしいです。

そして、昔読んだことがある方にも。
当時は苦手だった登場人物のことを、今なら少し違うふうに見られるかもしれません。

私にとって『潔く柔く』は、「面白かった」で終わらない漫画。
何度でも読み返して、何度でも考えたくなる。そういうところも含めて、どうしようもなく好きな作品です。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

Contents